行くぞ甲子園


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20 May 2020

続・甲子園大会中止について

*この問題は野球関係者、経験者、甲子園を一度でも夢見たことがある野球ファン、全てに共通して胸が痛む問題である。ネットでも様々な意見がある。「他の競技も中止だし野球も仕方がない」という意見には、筆者はあまり心響くものがない。「大人としてなにかしてあげたい」という声の方に共感することが大である。

野球への恩返しというか、まさに、大人としてこの高校生の悲しみをどう受け止めてあげれるのか、教育の現場関係者ではないが、もし各県が独自の大会を模索し、しかし予算の都合がある、などの理由があるとするならば、いくばくかでも協力したいと思う大人は多いはずだ。それだけ、高校野球が日本に寄与してきたものは大きいのである。高校野球が、夏の風物詩になった理由がそこにある。

高野連の判断は理解できる。大人として最悪の結果が起きた場合の責任は取れない、ということも判断に影響を多分に与えたであろう。主催する側からすればそれはもっともな判断である。



高野連声明:
「新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方々にお悔やみ 申し上げますとともに、罹患された皆様にお見舞い申し上げます。 第 102 回全国高等学校野球選手権大会は6月下旬からの 49 地方 大会、8 月 10 日に阪神甲子園球場で開幕予定だった全国大会の中止 をともに決定しました。安全と健康を最優先に考えた苦渋の決断です。 約 3800 校の選手が参加する地方大会は1か月半にわたり約 250 球場で開催され、全国大会は団体での長時間の移動や長期の宿泊を 伴います。選手や大会運営関係者の感染リスクはぬぐえません。 休校や部活動の停止も長期化し、練習が十分ではない選手のけが などが懸念されます。学業の遅れを取り戻すために夏休みの短縮 などが検討されるなか、新たな大会日程を確保することも困難です。 今後、スポーツイベント開催の制限が緩和される状況になれば、 感染防止対策を充実させたうえで地域の実情に応じ、高校野球の 大会や試合を支援する方策を探っていきます。 
令和2年5月 20 日 
日本高等学校野球連盟 
朝 日 新 聞 社」


選手や大会運営関係者の感染リスクーーーこれが一番の問題だ。主催者側としてもリスクを背負うことができない。もっともだ。しかし、もっともながら別の方策は果たして全くないか?リスクを主催者側だけに背負わせることが問題ならば、選手も監督も、主催者も、大会開催前にリスクを共有することを確認したうえに開催することはできないものか?もしくは、それならば、昭和17年のように、国(文科省)が責任を負うというかたちにすればどうか?当ブログの一つ前の記事を参照して欲しい。もっとも、このウイルス対策における日本政府の対応の遅れを見ていると、とても高校野球開催を引き受ける余裕があるとは思えないが、やってる選手にすれば、では何故全国的に自粛が緩和されたのか?という疑問が残る。感染する可能性が低いので自粛が解除されたのではなかったのか?

あるいは、(1)ひとまず無観客でも各地方大会の開催が可能な地域はリスクを確認したうで大会をやる。医療関係者も必ず全試合に付き添う。(2)近県、あるいは東北、関東、など、選抜の予選のような二次選考を各優勝校同士で行う。すると明治神宮大会のように、各地区チャンピオンは10校になる。(3)この10校のみで、甲子園がだめならどこかのドーム球場でも良い、甲子園代替の優勝大会を行う。このような近隣から試合をしていくシステムにすれば、最後の全国大会も過密日程にならずにたった4日で済むのではないだろうか?温暖化の今の日本では、この優勝大会の時期は11月にずれ込んでも十分であろう。

練習が十分ではない選手のけがーーーそもそものこの大会開催の当初の状況を察してみて欲しい。全国的に物不足でグローブやユニフォームさえ満足にない。選手の力量も現在の草野球に毛の生えた程度だったろう。それでもここまでの人気競技に成長したのは、選手の力量だけでない何かの見るものを感動させる要素があるからである。今大会に限っては、従来通りの9回でなくとも構わないと思った選手は大勢いたはずだ。準々決勝から、あるいは決勝のみ甲子園開催でもよかったと思ったものも少なくないはずである。東日本大震災当時を思い出してほしい。練習不足でも、選手には野球をする喜び、野球を見れる喜びがあった。もちろん、怪我については高野連の懸念と判断は正しい。だからこそ、イニングを短くするなどの方策はまったく無かっただろうか?今年に限っては、選手やチームの完成度は問題ではない、いくらエラーを連発するようなザル野球になっても、選手に心より拍手を送る人々は大勢いたのではないか?

全世界を見ても、日本の甲子園大会に匹敵するような高校生の巨大イベントはないであろう。ここアメリカでは、High school Baseballはメジャーではないし、日本の高校生のように何から何まで野球に捧げて最後の大会を目指すなどという風潮はない。ただ、夢をMLBに持ってる少年などは、高校で少しでもいい成績をあげて、大学にスカラシップで進学することを目標にしている。多くの選手は大学進学後が勝負だ。逆に言えば日本で本当に野球を続けたい現役選手は、この機会で自棄を起こさずに、MLBやNPBや大学野球などもっと遥か高い目標を掲げて、頑張って欲しい。


敵ながら天晴れと思うのは、仙台育英の須江航監督の様々な発信だ。私が共感するのは、まさにこの3年生に「心の救済策」を与えてやらなければならない、という彼の考えだ。これはとにもかくにも、高校球児が最後の試合後に涙すると同等のものを、与えて高校生活における努力が終わったんだと納得させてやらないといけない、という彼の信念に基づくものだろう。もっとすごいのは、この須江監督のアンケートに対する3年生の回答である。ここまで考えられる3年生がいるとは、仙台育英は強いはずである。

夏の甲子園中止検討の中で…仙台育英・須江監督が考える3年生への“心の救済策”(スポニチ)


 夏の甲子園大会が中止の方向で検討される中、昨秋の東北大会を制した仙台育英・須江航監督(37)が本紙の電話インタビューに応じた。昨夏就任2年目ながら甲子園8強に進んだ現場の指揮官は3年生をはじめ選手の心にどう寄り添うかを考えている。LINEでの選手とのやりとりも交え、現状と心境を語ってくれた。(聞き手・松井 いつき)

 ――緊急事態宣言の解除を受けてようやく練習再開の希望が見えたところで夏の甲子園中止方針の情報が広まった。率直な心境は。

 「そもそも(甲子園が)あるかないかの議論は、うちの場合はセンバツの開催が不透明になってきた時くらいからテーマとして取り組んできていました。どう向き合うかということを考える段階はもう過ぎています。さまざまな意見があると思いますが、結論から言うと“受け入れるしかない”が大前提で、次に踏み出さないといけないということです」

 ――紅白戦や練習試合での選手起用方法などは全てエクセルで管理し、データや考えとともに選手とLINEで共有している。今回はどんな問い掛けを?

 「甲子園が開催される、各県のみ開催、何もない、の3つ。これにどう行動していくかは個別に考えなければならない。選手自身がどう今後の人生をデザインしていくかを考えていこうという話です」

 ――やりとりの中で感じたこと。

 「手前味噌だが、凄いと思っています。選手それぞれの素質もあると思いますが、高校生としてここまで自分の感情を押し殺して、チームが掲げる理念に対して行動を起こせているのは凄いと思った。本来であれば3、4、5月で獲得したい野球スキルやフィジカルは獲得できなかったが、この期間でさまざまなことを向き合って、学びの場を有効に使ってくれた。失ったものよりも得たものの方が大きかった」

 ――選手の心もしっかりしている。

 「いかようになっても覚悟は決まっているが“仕方がない”“前を向こう”とかそんな簡単な言葉は言えないです。とにかく止まらないで前へ進むことしかない」

 ――野球界に限らず、子供たちの声が届く流れになっていない現状をどう感じるか。

 「コロナの問題が起きて、世間では国の将来を支える子供たちが常に蚊帳の外になっていると思う。子供たちは大人に失望しているでしょう」

 ――大人たちができることは。

 「(夏の甲子園の開催可否が決まる予定の)5月20日以降が大人の出番。子供たちは大人や周りにしてもらったことを凄く覚えている。僕らが子供たちに真に寄り添って、彼らにとって喜びになる行動を起こしてあげたら、きっと大人になった時に凄い力を発揮できる人材になれる。近くにいる大人の力量が試される」

 ――中止の場合の対応策としてさまざまな私案を考えていると聞く。まず「3年生と保護者への完結プロジェクト」を掲げている。

 「中止となった場合、3年生の部活をどう完結させていくかを考える必要がある。感染終息が大前提となりますが、秋ごろを目指して3年生と1、2年生が対戦する“伝承試合”や(今春の)センバツ出場予定だった鶴岡東(山形)、磐城(福島)との“東北限定センバツ”を実現できればと思っています」

 ――さらに「小中NEXTプロジェクト」という計画もある。

 「今回の感染拡大では高校生だけでなく地域の小中学生もいろんなことを失っている。それを取り戻せるような交流の場が設けられたらと考えています」

 ――成果を披露する場をつくることが必要。

 「すでに11月まで計画しています。僕が発信しているけれど、選手からも話が出てきて、“じゃあ、それをやろうか”ということもあります。3年生の成果を発表する場をつくり上げたい。休まずに次の一手を打ち続けていきたいと思います」

 ――前例のない状況で選手が次へのエネルギーに変えるために大事なことは。

 「彼らが大人になった時、10年後20年後にこれが響かないといけないと思っている。あの時は大人がこうやって立ち向かってくれたとか一緒に戦ってくれたという経験を与えてあげたいと思います」

 【須江監督、LINEで選手にアンケート】

(1)甲子園大会が開催される場合(日本一を目指せる)

(2)地方大会のみ開催される場合(発表の場がある)

(3)大会は全て中止(一番の真価が問われる)

それぞれについて、考えを記してください。

 ▼田中祥都主将(3年)

(1)短い期間で全員で競争し、誰よりも練習をする。そして1人で進むのではなく、それぞれに役割を与えて周りを巻き込んでチームを運営していく。

(2)今までの伝統や野球の質をつなげられるような試合を目指す。そして、一人一人が仙台育英でやり切ったというような試合にしたい。だから、日々の反省や後輩にどのような姿を見せていくのかを常に考えて取り組んでいく。

(3)試合がなくても後輩たちはあると思うので、一緒に練習をしたり教えたりして次の代に携わっていきたい。今までの先輩がつくってきてくださった良い物を伝えていき、自分たちが変えられるものを変えていく。また、多くの人が苦しんだと思うので少しずつ力になることをしていきたい。どの未来になっても必ず、次の代に残るものは何かを常に考えて、3年生全員でそこに対して取り組んでいきたい。

 ▼入江大樹遊撃手(3年)

(1)日本一という目標に向かって全員でチーム力を高めていかなくてはならない。この期間で落ちてしまった、技術面や連係など時間を無駄にすることなく全力で取り組んでいきチームで日本一になると強く思うことが大切だと思う。

(2)どんな形であろうと大会が開催されることには感謝して全力で勝ちにいくことが大事になってくると思う。今までやってきたことを出すだけと思う。自分たちがプレーで下級生に残せることがあると思う。そのためにも優勝することが高校野球完結のスタートだと思うので全力でやっていきたいと思う。

(3)全員が悔しいという思いがあると思うが特に自分たち3年生は、春も中止になりそれぞれ思うことがあると思う。だがそこで終わりじゃなくて下級生のために何を残すことができるか。自分たちで話し合いをして明確にする必要があると思う。中止になってしまっても自分たちは高校野球を完結させるためにできることをやっていきたいと思う。

 ◆須江 航(すえ・わたる)1983年 (昭58)4月9日生まれ、埼玉県出身の37歳。仙台育英時代は学生コーチで、01年センバツ準優勝時は記録員を務めた。八戸大を経て、06年に仙台育英学園に赴任。系列の秀光中教校軟式野球部を指揮し14年夏に全国制覇。18年1月から現職。

 ▽仙台育英 1905年(明38)に育英塾として開塾。野球部は1930年に創部し63年夏に甲子園初出場。甲子園は通算48勝(夏36勝、春12勝)を挙げ、夏は89、15年、春は01年といずれも準優勝が最高成績。OBに由規(楽天)、上林誠知(ソフトバンク)、梅津晃大(中日)ら。所在地は宮城県仙台市宮城野区宮城野2の4の1。加藤雄彦校長。


*須江監督、もし独自の大会をやるなら昨年甲子園まであと一歩だった古川高校にも参加を是非打診してください。お願いします!


https://twitter.com/sue_wataru30/status/1263040570106101760?s=20

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