重い扉が半世紀ぶりに開いた。古川が4-0で大崎中央を下し、秋県大会では65年ぶり2度目の決勝に進出した。エース右腕・千坂優斗(2年)が無四球で完封勝利。8安打を浴びたがストライク先行で三塁を踏ませず、地区予選初戦から全7試合62イニングを完投し、57年ぶり3度目の秋東北大会切符をつかんだ。
腰を落とす独特のセットポジションとともに、心にも安定感があった。千坂は9回、この日唯一の1イニング複数安打を許し、2死一、二塁と3度目の得点圏を招いても、動じなかった。「走者を背負ってからも、集中力を切らせずに投げられました」。最後の114球目は、力ない飛球となって中堅・大石雄大(2年)のグラブに収まった。
地区予選から3度目の完封だが、無四死球は初。制球力とともに、ストライク先行が光った。打者35人中、28人はストライクで入った。攻めの姿勢を求められるメジャーでも70%で「超一流」の初球ストライク率は、「神業級」の80%を記録。千坂は「一番自信を持っている点。多少ストレートが甘くなっても『打たせない』という強い気持ちで、逃げずにやれた」。また13人を2球で2ストライクに追い込むなど、遊び球も減らした。
1年夏から主戦としてマウンドを守る。同秋から背番号1、今夏から4番にも座る。入学直後から「ボールの力を保つため、股関節に体重をしっかり乗せる」をテーマにした、セットでのフォームが固まり、連投に耐えるタフさも備わった。この7日間で4試合36イニングを完投し、うち2完封した。
昨年で創立120周年を迎えた県北の進学校。午後6時半で下校のため、平日の練習時間は2時間程度だが、工夫して取り組む。鍛えた機動力では9回1死一、三塁、直前にセーフティースクイズを2度失敗した9番船橋暖人外野手(2年)がスリーバントスクイズに成功し、貴重な3点目を追加した。