＊仙台育英が六連覇。準優勝は聖和学園。３位決定戦で東陵が石巻工業を破った。仙台育英は宮城では秋春連覇で、この春季大会は、決勝はコールドが無いため９回を戦い１０−２の勝利だが、これは実質８回７点差でコールド、つまり中部地区大会から県大会決勝まで全試合コールド勝ちと等しい圧倒的な力の差を示した。県内では無敵と言っていい強さである。
ただ、聖和学園も随所に昨夏の王者らしい巧さを見せた。特に、初回の守り、先頭打者を四球で出したあと、徹底した牽制で育英のかき回しを封じた場面と、逆に簡単に盗塁を許した場面、他校にも育英対策のヒントになるので、例によってさくらしんちゃんさんの動画で見ていこう。
さくらしんちゃんさんの動画
8:45 の場面、先頭打者の出塁を許す。まず軽く牽制。これが無いと初球から走ってくる可能性がある。牽制を入れたことによって、初球からは動いてこないという読みでプレートへ投球、ストライク。ランナー勢いよくリード取ったのを見て、今度は速い牽制。さらにしつこく２度牽制。２球目を投じてファール。３球目の前にさらに牽制。セット長めにして３球目、ファール。４球目の前にもきちんと牽制して、さらにセットを長くする。これでランナーは完全に動けなくなる。結局この場面、ショート真正面のゴロをゲッツーを焦ってエラー、無死１，２塁のピンチを背負った。次打者ライトフライで２塁ランナーはサードへ。一死１，３塁。ここは育英は１００％走ってくることを前日も書いた。投手無警戒で２球目にやすやすと二盗を許す。続く打者を三振と二飛に打ち取りピンチをしのいだが、もし先頭の走者に簡単に二盗を許していれば、ライトフライは犠飛で１点献上の場面であった。
育英に負ける試合では、このような盗塁をはさむ攻撃を毎回繰り返されて、結局７回コールドぐらいでやられてしまうパターンが多い。先頭の走者を１塁に釘付けにした成果がここに出ているのである。
育英の選手は皆、身体能力が高いので、塁が空いたらすかさず走る作戦を取ってくると思った方が良い。逆にいつでも走れる自信が慢心となり、大きいリードや早めの見切りスタートを見せることがあるので、その点を鋭く突く。このような嫌らしい野球をすることが育英に勝つ絶対条件である。
春季高校野球宮城県大会 仙台育英が6大会連続29回目の優勝（朝日新聞）
第72回春季東北地区高校野球県大会は25日、石巻市民球場で決勝戦が行われ、仙台育英が聖和学園を10―2で倒して6大会連続29回目の優勝を決めた。3位決定戦では東陵が5―2で石巻工を下した。仙台育英と聖和学園はともに6月に山形県である東北大会に出場する。
「打てる捕手」の勝負強さが光った。1点差で迎えた六回の2死一、二塁。仙台育英の川尻結大選手（3年）は3点本塁打を放ち、聖和学園を突き放した。
直球を狙っていたが、スライダーを芯で捉えたといい、「ずっと課題だった、対応力の向上を証明できたホームラン」と振り返った。
須江航監督が「歴代一の長打力がある」と評価するチームの4番を担う。「安定した打撃で、打者としての評価はとても高い」と信頼も厚い。
一方、守備の面では反省を口にした。五回、四死球と安打で2点を失った場面を振り返り、「自分が梶井（投手）の状態をいち早く判断できればもっと良いピッチングをさせてあげられた」と話した。
昨年、春の県大会で優勝するも、夏の宮城大会では決勝で惜しくも敗退。「去年が証明しているように、春の優勝は甲子園に何の関係もない」と須江監督。夏の甲子園に向け、さらなるチーム力の向上を目指す。川尻選手は「バッティングはマストで、守備力も上げていかないと、負けない野球ができない。もう一つ二つレベルを上げていきたい」と誓った。（岸めぐみ）
東陵の赤間朔選手（3年）が投打でチームを引っ張った。五回、2死二塁。甘めに入った変化球を振り抜き、適時三塁打を放つと、塁上で味方ベンチに向かってガッツポーズをした。
守備では、ショートで先発したが、ピッチャーの制球が定まらず、一回無死一、二塁からマウンドに。「心の準備はしていた」と後続を3人で切ると、九回までを投げ抜き失点2に抑えた。
1年の春からベンチ入り。千葉亮輔監督は「走攻守の中心を担う選手」と評価。練習ではほかの選手のバッティングの相談に乗るなどチームメートからの信頼も厚い。「自分が結果を残してチームを勝たせる」。プレッシャーも自信に変え、夏の甲子園を目指す。（岸めぐみ）
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