*前回登場いただいた日野選手の協力の下に、2015年第2シード柴田高校との激闘を振り返る。
柴田高校は、1986年(昭和61年)宮城県柴田郡柴田町開校の県立校で、県内で初の体育科を設置した学校である。硬式野球にも力を入れており、元ロッテ・巨人・楽天で名ショートとして名を馳せた小坂誠選手の母校。2013年選手権宮城大会では初の決勝に進出、優勝した仙台育英に惜しくも1点差(5−6)で敗れたが以後も確実に実力をつけ、この2015年の春季県大会でも準優勝。第2シードとして夏の初戦、古川高校戦を迎えた。
2015 第97回全国高等学校野球選手権 宮城大会
二回戦 古川9−7柴田(第2シード)
とうほく報知
「やったぞ」古川 春準V第2シード柴田撃破
中鉢監督は継投を即断
まるで優勝したかのような大騒ぎだ。見事に「下剋上」を達成した古川ナインの中には「やったぞー!」と絶叫する選手、感極まって号泣する選手もいた。中鉢修監督(50)は「何点取ってもセーフティーという気がしなかった」と強敵撃破に疲労困憊だ。
殊勲者は2年生左腕の鈴木だ。先発した背番号1の高橋雄太郎(3年)が1回1/3で5安打3失点と捕まり、序盤の流れは柴田ペース。1死二塁となったところで、指揮官は継投を即断した。「自分のテーマは「火消し」、ピンチになるほど燃えます」という鈴木をマウンドに送り込むと、最速は130キロ程度ながら、キレのある直球とカーブで登板直後の打者6人から5奪三振。完全に流れを断ち切ると、7回2/3を4失点で乗り切った。
エースの高橋は今春の登板過多で右肩を負傷し、完璧とは言えない中での登板。鈴木は「春は先輩に頼り切り。夏は自分がやらなきゃ」と闘志を燃やしていた。春までは試合後半での登板が中心だったが、長いイニングも投げられるようにスタミナを強化。毎日10本のポール間ダッシュや20キロ近いランニングなど、体をいじめ抜いてきた。
ダル本熟読よりスピン
読書好きで「一つのことに集中してしまうタイプ」という鈴木は、ダルビッシュの著書「変化球バイブル」を熟読。直球を人差し指と中指をくっつけて握るように変えたことで、よりスピンをボールに伝えられるようになったという。
13日の3回戦は古川工業との"古川ダービー"。優勝候補撃破に「まだ信じられない」と興奮が収まらないサウスポーは「この勝ちは自信にしていいと思いますが、まだまだ通過点」と気を引き締め、初の甲子園出場目指して走り続ける。(鈴木 文人)
初回、 柴田に先制タイムリーを浴びるもライト
地紙選手のバックホームで2点 目を阻止
ライト高橋選手のダイビングキャッチ
日野選手のレフト前タイムリーヒット
後藤選手のディレードぎみのスチール(重盗)で得点
曽根選手のレフト前タイムリー安打
勝利の瞬間と盛り上がる応援席
(動画提供 後藤主将(当時))
サンスポ東北
春県大会準V柴田に打ち勝った
宮城古川「まさか」の金星
中鉢監督も驚いた
優勝候補の一角を崩す金星だ!宮城大会で11日、春季県大会準優勝で第2シードの柴田が2回戦でノーシードの古川に7−9で敗れる波乱があった。古川は相手のミスにつけ込み逆転すると、巧みな継投で逃げ切った。
◆宮城大会(仙台市民)▼2回戦
柴田 120 100 120|7
古川 131 210 10x|9
(柴)南館、大宮、鈴木、佐藤夏ー佐藤優
(古)高橋雄、鈴木ー熊谷
抱き合い涙
まるで優勝を決めたかのようだ。第2シードの柴田を破る金星。選手たちは抱き合い健闘をたたえあい、うれし涙を流した。一塁側スタンドからは大歓声。応援団が沸きに沸いた。
「まさか、こんなに点を取れるとは…。何点取っても、セーフティーリードを感じなかった。投手がよく抑えてくれた」
今春就任したばかりの中鉢修監督(50)でさえも驚きを隠せない。春季県大会準決勝の石巻戦で、5点を追う9回に7点を奪い大逆転勝利した相手に対し、最後まで気を抜かずに2点差で逃げ切り、下剋上を成し遂げた。
10安打9点
試合開始直後から相手の守備の乱れや投手の自滅につけ込んだ。第2シードで迎えた初戦のプレッシャーとも戦う相手に対し、古川には1回戦を勝ち抜いた”自信”とともに、ぶつかった。進学校ゆえ、練習は2時間と制限されている。春以降、試合では打ち負けることが多かったため、練習のほとんどを打撃練習に費やした。「まさか柴田相手にこれだけ打てるとは。できすぎです」10安打で9得点。監督も驚く成果だった。
投手交代もはまった。エースの高橋雄太郎投手(3年)の調子が上がらないと見るや二回途中から鈴木優作投手(2年)にスイッチ。130キロ前後の直球が持ち味の鈴木は「ナチュラルにシュートする直球と指にかかってスライダーのように変化した速いカーブで空振りが取れた」。適度な荒れ具合も奏功し、柴田打線を手玉に取った。7回2/3、149球を投げ8三振、4失点と粘り、勝利の立役者となった。
今年で創立118年となる伝統校。野球部は1921年に創部されたが、春夏とも甲子園には縁がない。2010年以来の3回戦進出にも鈴木は「目標は甲子園。まだ、通過点」と言い切る。夢の聖地へ、チーム一丸となって勢いを加速させる。(井上幸治)
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