◆第97回全国高校野球選手権宮城大会 ▽2回戦 古川9―7柴田(11日・仙台市民)
宮城の2回戦では、古川が今春県準優勝で第2シードの柴田に9―7で競り勝った。1―3の2回1死から登板した背番号10の鈴木優作(2年)が、流れを断ち切る好救援で金星を引き寄せた。
まるで優勝したかのような大騒ぎだ。見事に“下克上”を達成した古川ナインの中には「やったぞ!」と絶叫する選手、感極まって号泣する選手もいた。中鉢修監督(50)は「何点取ってもセーフティーという気がしなかった」と強敵撃破に疲労困憊(こんぱい)だ。
殊勲者は2年生左腕の鈴木だ。先発した背番号1の高橋雄太郎(3年)が1回1/3で5安打3失点と捕まり、序盤の流れは柴田ペース。1死二塁となったところで、指揮官は継投を即断した。「自分のテーマは『火消し』。ピンチになるほど燃えます」という鈴木をマウンドに送り込むと、最速は130キロ程度ながら、キレのある直球とカーブで登板直後の打者6人から5奪三振。完全に流れを断ち切ると、7回2/3を4失点で乗り切った。
エースの高橋は今春の登板過多で右肩を負傷し、完調とは言えない中での登板。鈴木は「春は先輩に頼り切り。夏は自分がやらなきゃ」と闘志を燃やしていた。春までは試合後半での登板が中心だったが、長いイニングも投げられるようにスタミナを強化。毎日10本のポール間ダッシュや20キロ近いランニングなど、体をいじめ抜いてきた。
読書好きで「一つのことに熱中してしまうタイプ」という鈴木は、ダルビッシュの著書「変化球バイブル」を熟読。直球を人さし指と中指をくっつけて握るように変えたことで、よりスピンをボールに伝えられるようになったという。
13日の3回戦は古川工との“古川ダービー”。優勝候補撃破に「まだ信じられない」と興奮が収まらないサウスポーは「この勝ちは自信にしていいと思いますが、まだまだ通過点」と気を引き締め、初の甲子園出場目指して走り続ける。(鈴木 文人)
古川、春準V柴田を撃破 鈴木が8K粘投/宮城(日刊スポーツ)
[2015年7月12日11時15分 紙面から]
<高校野球宮城大会:古川9-7柴田>◇11日◇2回戦◇仙台市民球場
古川が第2シードの柴田を破り、5年ぶりに3回戦進出を決めた。2回途中からマウンドに上がった2年生左腕鈴木優作が7回2/3を投げ6安打8奪三振と粘投。打線も計10安打で9得点を奪った。
思い切り左拳を握り、ガッツポーズした。2番手でマウンドに上がった鈴木が相手強力打線を被安打6の4失点と耐え抜き、チームを3回戦に導いた。過去4年初戦敗退のチームが、今春準V校撃破でこの夏2勝目。鈴木は「今でも信じられない」。ナインとともにうれし涙でよろこんだ。
「いつ逆転されるか不安でいっぱい」だった。だが1球1球、神経を研ぎ澄まして左腕を振り続けた。昨秋から春にかけ、大黒柱のエース高橋雄太郎(3年)が肩を故障した。「夏は自分がやらないとという自覚が出た」という。2-2の2回表1死、その高橋雄からマウンドを任されても「準備はできていた」。いきなり2、3回と打者6人から5つの三振を奪った。その後は計4失点も、最速130キロ超の直球とカーブで大量点は許さなかった。
努力家だ。ダルビッシュ有の「変化球バイブル」を読み込み握りを研究し、イチローの著書や「甲子園に行くには」といった本も読み込んだ。読書で集中力を養うと同時に、日々の練習でもポール間走を他の部員の倍行うなど、高校2年目の夏にかけてきた。
鈴木の粘投で、打線も波に乗った。2番日野悠人(3年)が4安打など、柴田から計10安打9得点。バックも好守を連発し、2年生左腕をもりたてた。中鉢修監督(50)は「鈴木は期待通りの活躍。やってくれると信じていた」と評価、打線についても「出来すぎです。こんなに打てるとは」と笑顔だ。第2シード突破で、10年以来の3回戦進出。勢いをつけた古川がこの夏、旋風を巻き起こす。【成田光季
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