宮城)県高野連、独自大会開催へ 11日に正式発表 (朝日新聞)
第102回全国高校野球選手権大会が中止となったことを受けて、宮城県高校野球連盟は5日、常任理事会を開いて、独自の大会を開く方向で検討を始めた。11日に理事会を開き、大会の詳細を詰めたうえで正式に発表する。この日の常任理事会は、仙台市宮城野区の仙台工業高校であった。松本嘉次理事長は電話取材に応じて、「独自の大会を開催する方向で検討し始めた」と話した。新型コロナウイルスの感染が再度広がった場合には中止もありうるとしたうえで、「リスクはあるが、3年生のために何としてもやらせてあげたい」との考えを示した。ただ、大会方式や感染防止策、試合日程などについては「すべて案の段階だ」として明言を避けた。 当初の宮城大会は7月7日開幕、8月1日決勝の予定だった。独自大会もこの時期を軸に調整する。
*正式発表を待たなければならないが、大会が開催されそうで本当に良かったとい
うところだ。関係者にお願いしたいのは、たった一人、一つのチームが感染したからといって、全部の大会日程を途中で中止にするようなことだけは避けてほしいということだ。そのようなことをするとかえってそのチーム、選手は責任を感じるし一般社会生活でも、ウイルス感染者は隔離すれば他の人間は影響を受けないのである。いわばそうやって社会がこの新型ウイルスと共生していく新様式の生活が求められているのであって、一概に全部中止にする、という判断は教育上も良くないことであると思われる。可能な限り、最後のチャンピオンを決定するまで真剣勝負できる大会でならなければならない。
宮城)野球ノート、思いつないだ3年生18人 石巻工 (朝日新聞)
夏の甲子園大会の中止が決まった日の夜、石巻工の利根川直弥監督は3年生18人のグループLINEにメッセージを送った。
「今は思いっきり悔しがってください。明日、これからのことについて問いを与えます」
翌日、休校中の部員たちに利根川監督が示したのは、今後に向けた四つのパターンだ。①県内で独自大会が開催、②練習試合はできる、③練習だけできる、④新型コロナの感染が拡大して試合も練習もできない。四つのケースに応じて自分なりの思いをまとめる。それぞれの「野球ノート」に書き込んで、4日後の登校日に提出するという課題だ。
まずは自らの悔しさと向き合って言葉で整理すること。それが、これから前を向くためのきっかけにつながるんじゃないか。利根川監督はそう考えた。
届けられた「野球ノート」には、部員たちの率直な言葉が詰まっていた。
「なんで戦後初の中止が自分たちの代なんだ」「体はこんなに元気なのにグラウンドに入ることすらできない」。A4ノート1ページに、丁寧な筆致でびっしりと書き連ねた悔しさ。
そして、野球への情熱。「甲子園じゃなく工業のグラウンドでも、みんなのプレーに一喜一憂したい」「あきらめない街・石巻!その力に俺たちはなる!」。器用な文章ではなくても、心に響くものがあった。
主将の和田恵佑君(3年)は次々と湧く願いを書いた。「中途半端で終わりたくない」「(秋季大会で敗れた)仙台商を倒したい」「後輩に何かを残したい」――。ぐちゃぐちゃになった感情を言葉にしていくうち、たとえ試合できず、練習だけとなってしまっても、やりきろうという覚悟が生まれてきた。「このメンバーでの野球はもうないかもしれない。①~④でも全力でやりたい」
投手の岩槻大夢君(3年)は、昨秋から投球フォームを下手投げに変えた。その実力が披露できない悔しさをつづった。「成長した姿を見せたかった」
そもそも書くことは得意ではないが、野球のことだと自然と言葉があふれてきた。「野球は人と人とを結ぶ力がある。この経験を伝える仕事がしたい」
利根川監督が全員にノートを共有。約2千文字で野球にかけた思いを表現した副主将の森敬樹君(3年)は仲間の文章を読み、「みんな同じ気持ちなんだ」と心が楽になった。仲間の思いを確認した和田君は、その日のうちに「独自大会を信じて練習します」と監督に伝えた。
それから1週間も経たず、2カ月ぶりの練習再開を迎えた。グラウンドで組む円陣。中止が決まった日は「みんなの気持ちが切れてないか」と不安を抱えた和田君が「さあ行こう」と声をかける。すると、想像していた以上の大声が響いた。「よっしゃー!」
練習後、利根川監督は部員たちに呼びかけた。「高校野球は100%アウトでも全力疾走するだろ? 今がそれだ。大会は『ある』と思って駆け抜けよう。チャンピオン取って、いつか甲子園に旅行しに行こうな」
独自大会の開催方針が決まった5日、練習を終えた和田君は声を弾ませた。「みんなのモチベーションもこれまで以上に上がる。どんな形でも、勝ちにこだわりたい」(大宮慎次朗)
*古川高校野球部OBの利根川監督率いる石巻工業は昨年秋、強豪東陵高校を下して東部地区優勝を果たした。「高校野球は100%アウトでも全力疾走するだろ? 今がそれだ。大会は『ある』と思って駆け抜けよう。」さすがと思わせる言葉だ。
厳しい環境下で今年の3年生は、早くも人生の非常に大事な教訓を学ぶ試練を与えられている。それは試練でもあるが、同時にかけがえのない機会と言ってもいいものである。それは、どんな状況下でも「しらけない」でやる、ということだ。
この最悪の状況下でしらけてしまって、「もうやめた」、こうやるのと、目標が見えず、それでも最後まで歯を食いしばって全力でやる、こうやるのとでは、その後の人生の様々な局面に処する心構えに決定的な違いが出てくる。人生においては、自分の目標、夢に容易にたどりつける人はほとんどいないだろうと思う。どこかで、不遇の時間に耐える雌伏期間というのが必要とされる。その期間の長短は人によってさまざまだが、そこで耐えうる精神力があるかどうかは常に試されることになる。そこでしらけていては、自分の目標に到達できることは到底おぼつかないだろう。
「どんなことでも、どんな状況でも自分は全力を尽くして頑張れるのだ」、この自信を獲得するための期間が現在である。これを意識した3年生には、この一か月は非常に濃密な、思い出深い、かけがえのない貴重な一か月になるだろう。100%アウトでも全力疾走、これだ。白けず頑張れ!!!
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