*新庄日本ハムの相手の隙をついた走塁がものの見事に決まりだしている。私は、新庄と同い年ということもあり彼の采配に注目しているが、今年は彼の野球脳をいかんなく発揮しているように見受けられる。そのひとつが、昨日の対中日戦で見せた(立浪監督がゴミ箱を蹴った)、いわゆる「フォースボーク」というトリックプレーである。
解説すると、2アウトランナー1,3塁で、中日投手は左の小笠原。この左投手で1,3塁の場合がこのプレーの条件だ。1塁ランナーが飛び出し、牽制に引っかかっているうちにサードランナーはホームを狙うものだが、この一塁ランナーはおとりである。わざとコケた演出を加えている。「ランナーが態勢を崩して転んだ」この出来事が無意識に野手の送球を促してしまう性質を逆手に取った質の高い頭脳プレーである。
スローで動画を見ると、サードランナーの万波のスタートがわずかに先で、おそらくこれが合図で絶妙のタイミングですぐ一塁ランナーは飛び出しコケている。普段から意識していないと出来ないプレーである。
守備側も練習の時から頭に入れておかないと、このようにプロでもまんまと引っかかる。これに引っかからないようにするには、投手は1塁ランナーに幻惑されずに、プレートを外してサードランナーの動きをまず見ることである。その後、ボールを持ったまま飛び出しているランナーを追っていく。決して投げてはいけない。
実は、このプレー、昨年も新庄は対オリックス戦で行っている。いずれも、こけたランナーを見た左投手がファーストに投げてしまったためにサードランナーの生還を許している。
また、右投手の場合は、捕手にセカンドに投げさせることによるダブルスチールも成功させており、日本ハムのランナーがサードに行った場合の作戦は目が離せないことになっている。共通しているのは、守備側が若い塁のランナーに気を取られてボールを投げてしまうと成功率が高まるということだ。これを防ぐには、サードにランナーがいる場合には、意識はほぼサードランナーに置くことにして、他のランナーは進塁を許しても構わないと思うこと、また偽投の意識を守備のときに高めておくことだろう。偽投を一回試合中に見せることによって、相手側は大胆な作戦を出しにくくなる。
偽投の例↓三塁手に注目
以前、金足農業が近江に2ランスクイズでサヨナラ勝ちした甲子園の試合があった。↓ この場合、セカンドランナーは2ランスクイズを成功させる意識満々なので、サードに到達した時点でスピードを緩めずにボールを捕球した三塁手の動きだけを見ている。三塁手がファーストに投げると咄嗟に判断した時点で大きくサードベースを回っている。ここで三塁手は、一発一塁に投げるフリの偽投を挟めば、大きく飛び出したセカンドランナーを三本間に挟むことでアウトにできたはずだ。
このように咄嗟の判断で勝敗を決するプレーが生まれることを考えると、野球はまだまだ奥の深いスポーツであり、日常の練習からどのくらい様々な局面を想定して行っているかが勝敗の鍵を握ることになるだろう。今年の新庄野球はその奥の深さを教えてくれている。
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